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地区予選会を勝ち抜いて 「全米オープン」に出場!!
多くのことを学び取りPGAツアープレーヤーを目指す Kenny Kim (ケニー・キム)
ベブルビーチG.L.で開催された「全米オープン」で、地区予選会から勝ちあがり出場を果たしたケニー・キム。
初日はメジャー大会独特の雰囲気にのまれ78と振るわなかった。二日目、自分を取り戻し73の好スコアをマークしたが、それでも予選突破できず敗退。 しかし、大舞台で経験したことは、これからのゴルフライフを変える自信となった。
カリフォルニア州立大学アーバイン校(U.C. IRVIN)出身の若きプロゴルファーに「全米オープン」での経験と、これからのプロゴルファーとしての心境を語ってもらった。 |
11歳で単身渡米
米国名はKenny Kim (ケニー・キム)、1985年12月19日韓国生まれの24歳。ゴルフは、韓国で10歳の時にゴルフ好きの父から習い始めた。 「自分は勉強よりサッカーやバスケットボールなどのスポーツが好きだったので(笑)、ゴルフをするのはとても楽しかったですね」とゴルフの魅力に取り付かれた。
韓国で1年間練習してから11歳でゴルフ留学の目的で単身渡米。かつてLPGAツアーで初の韓国人プレーヤーとして活躍し、現在カリフォルニア州立大学フルトン校(U.C. Fullerton)女子ゴルフチームのヘッドコーチをしているパール・シン(Pearl Sinn)の両親の家に約6ヶ月ホームステイをして、彼女の父親からゴルフを習った。その後、パールの自宅に1年間ホームステイし、パールから直接レッスンを受けたことで、ゴルフがどんどん上達していった。
「渡米した時、英語はまったく話せなかったので、ジュニアハイスクールでは言葉で苦労しました。セリトス市のハイスクールに通いゴルフチームでプレーしましたが、ゴルフの成績はまあまあでした。AJGA(アメリカン・ジュニアゴルフ協会)の試合にかなり出場しましたが、2位止まりで優勝はできなかったです。当時のベストスコアは64だったと思います」
ハイスクール卒業後、ゴルフ奨学生としてカリフォルニア州立大学アーバイン校に進学。ジュニアから大学時代を通して多くの試合を経験し、ツアープロになることを決心した。
「米国でツアープロになるのは大変難しいことです。リッキー・ファウラーや石川遼選手などは、ツアーで若いうちから活躍していますが、ツアープロになることは簡単ではありません。彼らには運もあると思いますが、その才能が人一倍優れているのでしょう。ただし、多くのゴルファーがツアープロを目指している米国では選手層が厚く、その中から実際にPGAツアーに這い上がっていくのは大変だと思います。自分はジュニアから大学時代を通して、大きな大会で優勝したことはありませんが、ツアープロを目指して努力したいのです」
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PGAツアー初出場
2008年サンディエゴで開催されたPGAツアー「ビュイック・インビテーショナル」のマンデークォリファイ(月曜日に行われる本大会への予選会)に彼はアマチュアとして挑戦した。約100名ぐらいが予選会に出場したが、本大会への出場枠はたった1人。ケニーは、トーリーパインズ・サウスコースを68でプレーして見事予選会で勝ち、PGAツアー公式戦に初めて出場した。
「PGAの大会は、練習ラウンドからとてもエキサイティングでした。ツアープレーヤー達と同じ練習場でボールを打ち、その場にいることで本当に感激しましたし、タイガー・ウッズもボールを打っていましたから感無量でした。タイガーは自分達の時代ではアイドルですからね。それでも、自分の練習に集中できました。練習日はみっちり2時間ぐらいボールをうち、パッティングも2時間ぐらいしてやる気満々でした。しかし、頑張って練習しすぎたのかトーナメントが始まる日には結構疲れていましたね(笑)」 |
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この大会はアマチュアでの出場だったし、PGAツアーの最初の大会だったので、少しナーバスになり、79-76で予選を通ることができなかった。しかし、練習からトーナメントまで多くのギャラリーの中でプレーできたこと全てが彼にとって特別な時間であり、その場にいるということで幸せな気持ちでいっぱいだった。この時の経験が今年の「全米オープン」出場に生かされたのだ。 そして、08年プロに転向してPGAツアーの下部組織であるネイションワイドツアーのマンデークォリファイにも挑戦した。
「マンデーは1日だけで、普通のトーナメントとは違いシュートアウトの試合だから、最初の9ホールを2~3アンダーぐらいでどんどんバーディをとるようなプレーをしないと、通過するのは難しいですね」
それでも、08年9月に行われたネーションワイドツアーの「Utah Energy Solutions Championship」のマンデークォリファイを通過し、本大会では4日間7アンダー(69-69-65-74=277)で47位タイに入賞し、賞金を獲得した。
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PGAツアークォリファイスクールの難しさ
同年PGAツアークォリファイスクールに挑戦したが、ファイナルステージまで行くことはできなかった。ファイナルステージまで進むと、上位30名が翌年のPGAツアーに参戦できる。もし、入賞しなくても、順位により翌年のネーションワイドツアーに出場できるので、ファイナルステージに行くことが当面の目標だ。今年もまたファーストステージからクォリファイスクールにチャレンジする。
「ファイナルステージに行くには、ゴルフの基本的な部分、飛距離、安定したショット、アプローチ、パットと全てがある程度のレベルになければなりません。しかし、そのタイミングも凄く大事ですね。それまで調子が良かった選手でも、クォリファイで上手くプレーできなかったり、それまで調子が悪かった選手がクォリファイで調子を上げて通ったり、プレッシャーやメンタル面のこともありますが、非常に難しいトーナメントです」
ケニーのプレースタイルとして調子が悪くなる時は、全てのリズムが速くなる傾向がある。歩くテンポや打つまでの間合いの取り方、そしてスイングも速くなる。もしいいプロのキャディがついたらその悪い点をプレー中に注意してくれて、修正が出来る。
「例えば、1日で1ストロークから1.5ストローク変わるとして、4日間で4から6ストロークも違います。トーナメントであれば、予選落ちするところが決勝ラウンドに進むことができますからね。キャディはいろいろな状況下でゴルファーにとっていい判断をしてくれると思います」
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「全米オープン」予選会にチャレンジ
今回「全米オープン」に出場するために予選会に挑戦した。地区予選を突破してファイナル予選会まで駒を進めたケニー、初日は2アンダーだった。出場枠は4名、初日トップ3のスコアは6アンダー、4人目が5アンダーだから3打差だ。二日目も同じようなスコアが出ると予想し、二日間トータル10アンダーでプレーしないと、4名の枠に入れない。
「二日目の9ホールを終わった時点でトータル4アンダーとなりましたが、残り9ホールを最低でも3から5アンダーでプレーしないと4名の枠に入れないだろうと思いました。よしバーディを取ろうと気持ちを入れ替えたら、10番から15番まで6ホール連続でバーディを取れました。16,17番はボギーになりましたが、結局トータル8アンダーで4名の枠に入り全米オープンの出場権を獲得できました。その6ホールは本当にゾーンに入りましたね」
メンタル面で変わることができれば、自分でもこのようにゾーンに入ってバーティラッシュに結びつくことができる経験をしたケニー。6ホール連続バーディはこれまで初めてのことだった。
「1打1打集中してアグレッシブにプレーすれば、プレッシャーの中でこのようなスコアが出せる」と自信を得た。
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スペシャルな場所、ペブルビーチ
「全米オープン」のトーナメント会場に行くと、最初の日から驚くことばかりだった。まず、ペブルビーチのゴルフコースが素晴らしかったこと。今までにあのような素晴らしい景観のコースは、ケニーにとって初めてだったし、大会の規模の大きさに驚いた。
「 全米オープンという特別な舞台でしたからね。全てが本当に“スペシャルな場所”という感じでした。だけどそれほどナーバスにはならなかったし、練習日は普段のようにできました。練習ラウンドでは、スティーブ・ストリッカーと9ホールプレーしました。彼は、私の質問に丁寧に答えてくれて凄くいい人という印象を受けました。あとロス・フィッシャー(イングランド)ともラウンドしましけど、彼にもいろいろと教えてもらいました。今回の“全米オープン”で2位になったフランスのグレゴリー・ハブレットや、池田勇太選手とも練習ラウンドをしました。池田選手とはあまり話をしませんでしたが、ナイスガイです。多分英語があまり得意ではなかったからでしょう。いろいろな選手とプレーしたり話もできたので、それもいい経験になったし、いい思い出になりました」
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結果は初日7オーバー78、二日目2オーバー73、トータル9オーバー151で、予選カット(7オーバー)まであと2ストロークで予選落ちとなった。
「二日間とも、14番パー5が特別なホールになりました。初日はトリプルボギーの8、二日目は7を叩きましたからね。忘れられないホールです。今思えばこ のホールをもう少しうまく攻略できていれば、予選通過も出来ていたかも知れません。このホールは3打目が非常に難しいんです。硬く小さなグリーンで、海の 方に傾斜があります。ボールの落としどころにより、グリーン奥にこぼれてしまいます。初日は3打目残り80ヤードからトリプルボギーとなりました」
初日は少しナーバスになっていたというケニー、「全米オープン」だからバーディをとるより、パーをとることを考えてプレーしたが、最初の9ホールは4オー バーになった。8、9、10番が難しいホールでボギー、12番バーディを奪取したが、13番再びボギーとして6オーバーとなったが、まだなんとか我慢して いた。しかし、問題のホール14番でダブルボギーとなり気落ちし、17番もボギーとなった。18番でバーディをとったが、トータル7オーバー78と大きく 出遅れた。
「二日目は、2アンダーぐらい出せばトータル5オーバーで予選通過できるだろうと思いました。インの10番からのスタートで、いきなりボギー。 11,12,13番までパーで切り抜けましたが14番でトリプルボギーの8で通算11オーバーとなり、ここで気持ちが吹っ切れました。とにかくプレーに集中しよう。“全米オープン”ということを考えないで、いつものようなゴルフをして、ゴルフをエンジョイしようと考えました。それからは残りの13ホール (15番から9番まで)を2アンダーでプレーして、二日目は2オーバー73でプレーがきました」
この13ホールのプレーは、ケニーにとって大変自信になったという。メンタル面でポジティブな考えを持ち、プレーに集中できれば、このような大きな舞台で も自分のプレーができるという経験をした。「全米オープン」でバーディを取りに行くことは難しいが、ネガティブなことを考えず、最後の13ホールはアグ レッシブなプレーで、ゴルフをエンジョイできた。
「アグレッシブにプレーするといっても、バカげたプレーではありません。しっかりと戦略を考えて余計なことは考えずプレーに集中してプレーすることです」
ペブルビーチG.L.で特に難しかったホールは、2、8、9、10、14、17番。グリーンは硬かったので、有名な7番のショートホールはほとんどグリーン奥にボールが転がった。
「グリーンは意外と遅かったのでびっくりしました。特に初日は一番最後の組のスタートでグリーン上はボコボコ、本当にひどい状態だったので、ガッカリしま した。“全米オープン”という舞台だけにパーフェクトな状態なのかと思っていましたから、初日のグリーンコンディションには驚きましたね。二日目は9時ご ろのスタートでしたから、グリーンの状態はよかったですよ。こうゆうことも経験しないとわからないですね」
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PGAツアープレーヤーへの道
次回大きな大会に出場したら、アグレッシブにプレーする。初日に守りのゴルフをして結果がでなかったし、二日目の15番ホールからのようにポジティブに考え、アグレッシブにプレーすることで結果がでたので、守りのゴルフはしないつもりだ。
「全米オープンはフェアウエイも狭いし、ラフも長い。そして、グリーンは小さくて硬いので、アグレッシブに攻めてもボギーはでます。だけど、ダブル、トリプルだけは避けるようにしないとだめですね。パー5や比較的易しいホールでバーディをとり、難しいホールはボギーでも仕方ないけど、大たたきをしないことです」
これからPGAツアーのトーナメントでプレーする時、今回のいい経験を生かして結果に結びつけるようにしたい。「全米オープン」は、普通のトーナメントより多くの観客が見に来る。その大会でプレーできたことは、結果はともあれ多くのことを学び、これからのゴルフライフに凄く役に立った。
「自分の夢はPGAツアーでプレーすることと、いいプレーヤーなることです。これからツアープレーヤーになるには、パッティング、100ヤード以内のショートゲームやチッピングのレベルを上げること。色々な状況から、常に正確にクラブヘッドでボールをとらえて3~5フィート以内に寄せることができるようにしたいですね。あともう少しショットも安定させないとダメです。毎日いいショットを打つことは難しいですから、その時のコースマネージメントも必要です」
ドライバーの飛距離は290~295ヤード。ウッズやミケルソンは320ヤードぐらい飛ぶが、ツアープレーヤーの平均ドライバー飛距離は280から290ヤードなので、ドライバーの飛距離は特に問題ない。勿論彼らは飛ばそうと思えば300ヤード飛ばす力はあるが、80%ぐらいで振ってフェアウエイキープをしている。ツアープロとの違いはショートゲームの上手さだろう。
「一番好きなクラブはパターです。プレッシャーの中でも、“自分はこのパットを決められるんだ”と思ってパッティングに集中できるようになりました。以前はこのトーナメントに優勝したいとか、マッチプレーに勝てると思うと、パッティングに恐怖心が出て“このパットは決めることができるのだろうか?”と思っていました。しかし、今ではしっかりグリーンを読んで、いいストロークをすることに集中し“とにかくベストを尽くしてトライしよう。楽しくプレーしよう”と思えるようになり、そのような考え方がゲームにずいぶんプラスになっています」
ケニーは、「全米オープン」の予選会と本戦をプレーして自分が大きく変わった確信を持った。初心者は別として、ゴルフは90%がメンタルで10%が技術といわれるが、今回の経験はそのメンタル面の重要性を気付かせてくれたのだ。
爆発的なスコアを作り出す力のあるケニー・キム。PGAツアープレーヤーになるにはまだまだ努力は必要だが、今回の経験をいかしポジティブなプレーを心がければその道も開けるだろう。彼のようにツアープレーヤーを夢見ているゴルファーが、アメリカの各地のゴルフ場で努力し、ローカルトーナメントで凌ぎを削っている。そのハングリー精神をもった才能のある若者にチャンスと運が訪れた時、アメリカンドリームを手に入れることができるのだ。
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