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中国雲南省・春城―スプリング・シテイ・ゴルフ・リゾート |
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高倉健が「中国映画が世界に誇る」張芸謀監督と撮った<単騎、千里を駆ける>が日本で公開され「壮大で心に沁みる作品」と好評を博している。この映画の舞台となったのがこの雲南の大地だ。雲南省は中国の南西部にありベトナムと国境を隣接していて、中国と異民族文化が混合、異国情緒たっぷりの地域である。そして、ここには今も26もの少数民族が住みついている。
雲南リンクス探訪隊のメンバーは、世界の何処にでもつきあってくれるリビエラ仲間の遠藤さん、立教の後輩でもある山洋電気常務の田村さん、そして上海からは半導体商社「丸文上海」の総経理を務める相原さん、皆シングルの強者たちだ。10月の雲南は涼しいがセーターがあれば十分にすごせる気候で、中国の秋は実りの旬、山海の珍味が楽しめる。
香港から2時間半のフライトで春城リゾートの玄関口である昆明に着く。上海で日本語を学んだという素朴な青年、曹鴻星さんが出迎えてくれた。我が探訪隊のガイドである。「私の祖先は三国志で悪者にされている曹操です。最近では歴史が見直されて曹操の偉大さを再評価する学者や人民が増えて、私たち家族は皆喜んでいます」と自己紹介、「昆明は雲南省の省都で人口350万人の中都市、昔から中国西南都市と東南アジアを結ぶ商業・交通の要塞でした。
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 神秘と幻境の石林
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海抜1,894メートル、年間平均温度が15度と常春で、ここには天を突く<石林>があり、世界遺産となった麗江まで足を伸ばせば、昔ながらの中国の情緒を満喫できます」朗々と、昆明の歴史と文化を語ってくれる。しっかりした日本語、豊富な話題、曹さんの博識には興味が尽きない。「さすが、曹操の流れを汲む大物ガイドですね」と田村さんが感心することしきりである。「でも、最近の日本は不景気で、お客様は半分になってしまい、私たちは寂しい思いをしています」バブル崩壊の波がこの地にまで響いているとは知らなかった。 |
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ちなみにベテランガイドの曹さんの月給は多いときで4万円、景気が悪い今は2万円とのことである。「それでも、私たちは幸せです」と屈託のない曹さんの笑顔がこの地に住む人々の素朴だが幸福な生き方を象徴しているようだ。
「今日は世界一のキノコ料理にお連れします。日本の方は松茸が大好きですが、昆明では2流品。もっと美味しいキノコがたくさんありますから。でも、特別に松茸を用意させましたので、たくさん食べてください」そのキノコ鍋は鉄鍋に鶏がらスープを沸騰させ5~6種類の茸をさっと煮る。数種類のピリ辛調味料をまぶして食す味は、さすが雲南の珍味、天下一品である。1キロもの松茸は鍋とソテーで、あっという間に消えてしまった。
「お腹が一杯になる前に、もう一つの昆明料理を試してください」曹さんが説明してくれた有名な料理の逸話はこうだ。「昔、昔のことです。文官登用試験勉強のため山篭りをした夫のため、若妻が考えた麺です。貧乏ですから贅沢な料理もできません。そこで米の麺を打ち、たった一羽の鶏をだしにして川向こうの山麓の小屋に運んだんです」中国で言う大食鬼集団となった私たちは迷うことなく追加注文した。運ばれてきた土鍋の表面はぐらぐら煮えた油が薄く覆っている。その汁の中に具と細い米麺を投げ込むだけだ。
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| 口中が火傷をするくらい熱いがさっぱりとした汁と歯ざわりの完璧な細麺。私たちは唸ってお代わりをした。「どうですか?」曹さんの言葉に「旨いねーこの麺」「そうです。若妻は寒い冬に暖かい麺を食べさせてあげようと考え、鶏の油で汁の表面を覆ったんです。これで時間がたっても汁は温かいんです。夜中に暖かい麺が食べられ、若者は登用試験に受かったという、おめでたい話です。 若妻が橋を渡って細い米麺を運んだので<過橋米線>という名前がつきました」 |
 キノコ鍋を囲んだ探訪隊の面々
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昆明から小1時間のドライブ、「陽宗海」と呼ばれる大きな湖が現れると春城だ。「ここは1998年にシンガポールの財閥・ケッペル・ランド社が開発、瞬く間に東洋一のゴルフ・リゾートになりました。豪華なクラブハウス、地中海風のヴィラは眺望のきく大きなリビングとベッドルームが用意されていて心からくつろげますし、(一棟4人宿泊、2泊2ラウンド・パッケージがお薦め)。ゴルフコースは勿論、中国No.1です」。曹さんの言葉を待つまでもなく、ゴルフダイジェスト誌がアメリカを除いた世界トップランクの51位に選んだレーク・コース、同52位のマウンテン・コースの踏破が今回の目的だ。
今世紀に君臨したコース・アーチテクチャーはロバート・トレント・ジョーンズ親子といっても過言ではあるまい。シニアは歴史に残る数々の名門コースを完成させ「ゴルフ設計の大御所」と誰もが認めている。一方のジュニアは世界に目を向け、6つの大陸、38ヶ国に200以上のコースを造った。「彼はサディスト、彼のコースは拷問だ」と激しい気性をそのまま表現したジュニアのコース設計理念は、現代の挑戦的コースデザイナーの中でも過激派、との烙印を押されている。
「春城はアジア・パシフィックで最高のゴルフ・パラダイス、2,100メートルの丘陵地帯から見下ろす広大な湖、地形の段差の違いで刻々と変化する景観、ここでのプレーは究極のゴルフとなるでしょう」「ピン・ポイントで攻めてゆけば決して拷問ではない。先ずは落としどころを決め、しっかり打つこと。でも、的をはずせば、ポケットの中の新しいボールを打つことになる。何発もね。」ジュニアの私たちへの挑戦状だ。
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それでは、ジョーンズ・ジュニアの設計哲学を代表するレーク・コースの名物ホールを紹介しよう。
先ずは、中国一戦略性を秘めた5番、335ヤード、パー4、登りのティショットは左右に分かれたダブル・フェアウェイ。中央に巨大なバンカーが横たわっているため、2打目を確実に乗せるためには右フェアウェイを狙うのが最適だが、狭い上に右に飛びすぎれば急峻な崖が待ち構えている。安全な左のフェアウェイに打つと、狭い縦長の砲台グリーンを斜めから攻めることになり、パーフェクトなアプローチショットが要求される。全員がダブルボギー、「うーん、これはまさに拷問ホールだ」
難易度の高いシグネチャーホールは7番だ。354ヤードのパー4。その日の風の状態によって攻め方は変わってくる。追い風で距離が稼げれば、右ドッグレッグのフェアウェイにキャニオンを飛越してゆける。ただし、スライスやプッシュ・アウトしたら崖地獄。風がアゲインストなら、広めの左に220ヤードを打って2打目に勝負をかけるが、難関は奥行き34ヤードの細い砲台グリーンの攻め方だ。ショートすれば転がり落ちてくるし、オーバーすれば向こうの崖に飛び込んで行く。的確なアプローチショットを打てるプレイヤーのみがパーを取れる仕組みになっていて、ジュニアが自ら絶賛するホールだ。
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 広大な湖に向かって打ち下ろしていく8番パー3
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8番、湖に向かって35メートルを打ち下ろしてゆくパー3。風の吹き具合で、ピッチングから7番アイアンとクラブ選択が鍵となる。6回のホールインワンの記録を持つ遠藤さんが9番アイアンで、あわやエースのナイスショット。しかし、ピンを1メートルオーバーしたのが命取りで、下りの傾斜、見えないアンジレーションを読みきれず痛恨の3パットで天を仰ぐ。このティグラウンドからの眺めは圧巻で輝く湖と対岸の山と港のパノラマが展開している。「確かに、すばらしい景色だけど、今は楽しむ余裕はありません」とは、ここまでジュニアに虐められてきた田村さんの嘆きである。 |
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しかし、私たちが最も感銘を受けたのは、ティショットからアプローチまで「陽宗海」の水際を打ってゆく9番、479ヤードのパー5だ。
霞たつ岸辺の近くには笠と蓑をまとった漁師が舟を浮かべていて、その墨絵的風情は中国でのゴルフを髣髴とさせてくれる。フェアウェイはアップダウンがあるものの「真っ直ぐのハオチョウ(好球)を打てば、メイウンティ(問題ない)よ」とキャデイに励まされる。ちなみに、1台のカートには2人のキャデイがつく。皆、若く献身的ではあるが、パットの読みを信頼すると、とんでもないことになる。右方向に半島のように張り出した楕円形の小さなグリーンへのアプローチは、水面に打ってゆくようで緊張を強いられるが、相原さんと私が連続竿一パットを決めてバーデイ。二人してハイタッチとガッツポーズがでる。
後半戦も左・右手に湖をみながら谷越え、アップダウン、スネーク状のフェアウェイ、砲台グリーン、崖と深いバンカーと、どのホールにも罠が仕掛けられていて、ジョーンズ・ジュニアの設計を尊敬するか、拷問と取るかはその日の出来次第、ということだろう。
しかし、過酷なプレーの後、ここ春城リゾートでは償いの饗宴が待っている。先ずは、雲南を代表する石林の探索だ。石林訪問が長年の夢であった遠藤さんが叙情的な案内をしてくれた。「幾億万年にもわたる自然の変化は1,100キロ四方の奇観を創造しました」宋代の山水画家郭がこう吟っています。「石林に入り、険しい石峰の間を歩くと、この自然の神業に圧倒され、底知れぬ神秘さに魅せられながら、幻の境を彷徨することになる。雲南の地を訪れ、石林を仰がぬ者は、その人生の遺憾となろう」
リゾートに帰ればサウナに入ってマッサージだ。「1時間8ドルですから、2時間の予約をしました。ゆっくり全身を揉みほぐしてもらってください。時間がない人は足揉みも効果的ですよ。30分も揉んでもらえば、もう1ラウンドは行けます」と中国通の相原さん。冷えた<青島ビール>で喉の渇きを潤した後には、湖を眺めながらの晩餐が待っている。お奨めは活魚と貝の料理で中国系フランス風の特別ソースが秀逸。酒は現地の紹興酒がお奨めだ。食後は、中二階にある「シガー・ルーム」でコニャックを傾けながらキューバ産の葉巻を口にできる。パノラマ・ガラスから<陽宗海>対岸の丘に、壮絶なまでに赤い夕陽が沈んでゆく。今回の旅のアレンジをしてくれた上海在の相原総経理がしみじみと呟いた。「これが春城ゴルフの醍醐味です。あと何年駐在生活が続くかわかりませんが、中国にいる限り毎年来ます」
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そして、私たち「雲南リンクス探訪隊」最後の踏査先は昆明の民族舞踊「雲南映像」の観賞であった。中国で知らぬ人はいない楊麗平という女流舞踊家の華麗で幻想的な「孔雀の舞」と若者たちの跳躍の踊は、中国に併合される前には、自由に生きてきた民族生活の歓びと、今、滅び行く哀しみを表現した物語で、数十個の大・小太鼓の咆哮とともに上半身を激しく上下に投げ出す円舞は、類を見ない迫力で我々を圧倒してきた。私の人生の中で最も感銘を受けたショウで「雲南映像」に匹敵するのはアイルランドの「リバーダンス」の他にない。
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 楊麗平の孔雀舞のフィナーレ
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| 読者の皆さんが雲南ゴルフの旅に出るなら、先ずはトレント・ジョーンズ・ジュニアに挑戦し洗礼を受けることだ。翌日は 「中国で最高のゴルフコースであることを確約します。天然の地形がそのまま戦略的な数々のホールを生みました」とジャック・二クラウス自信を持ってデザインしたマウンテン・コースだ。ここも難攻不落だが、快適なプレーが楽しめる。 そして「リンクスの最大の魅力が自然との対決」であるなら、春城では“究極のリンクス・ゴルフを満喫できること”を約束しよう。 |
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